君とスパークリングレモン
空港からの急行バスで帰ろうとしている。
冷えで、腰が痛みキャンドゥで貼るカイロを買って、
途中おしゃれな娘がカチューシャしてるのが気になって、
私も似たようなのを買ってみる。
似た、ショートボブだったのである。
腰の余りにもの痛さに「あいたた」と一人で連呼し、切符を買い忘れるところだった。
自販機が目に入り、温かい物をと思ったが、余りない。
仕方なく清水さんに教えてもらったレモンの炭酸水を買う。
座ってちょびと呑む。うまい。
知らぬ間にバスが来て、急いで駆け込んだ。オヤジ臭がする。おばさんの香水よりマシだ。
香るスパークリングに私の思いを託し、今市役所前に居る。夕焼け空を早く見れる事が嬉しくなったバスの中。
私はまだ腰が痛い。
百均のカイロは中々熱くならない。これが百均か。私に語るカイロは冷たく、108¥だけが飛ぶ。
図書館横の街路樹が、まだ青々と光に重なり、日々の疲れが一瞬にして喜びとなる。
街中を抜けようとしている、昭和通り。バスはひたすら走る。急行だから、仕方ない。
バスは楽で良い。リムジンだから、尚更良い。
思うに、CoCo壱が目に入り、私の流れは夕飯のカレーへと移る。それまでに、スパークリングレモンを呑んでおこう。
小さなディクレア。
スパークリングレモン。
しゅわっと顔に当たった瞬間が、瞬く間に鮮明に蘇る。
スパークリングレモン。
美人のインスタグラマーが朝はレモンウォーターを呑むと。それにも感化され。スパークリングレモンに私の腰は治せない。
分かってる。
でもね、
一生分の愛情を君に注ぐように、一つの商品に込められた思いは、ビジネスなりと社会を動かし、心となる。
そんな、スパークリングレモン。
老舗喫茶店ライター
聡子